マノロブラ二クには早すぎる (永井するみ/ポプラ社)
タイトルからわかるように、本作品は「マノロブラニク」がキーアイテムです。
ファッションに少しでも興味がある方なら聞いたことがあるであろう、ドラマ「SATC」でも主人公が破産するほど夢中になった、美しい靴。
出版社に勤める主人公の世里は、翻訳部門を希望していたにも関わらずファッション雑誌の編集部に配属されてしまいます。だから世里はファッションに興味がなく、雑誌を作るための知識も乏しい。当然のように鬼編集長に怒られる日々が続きますが、この編集長は仕事ができてとても格好良い、世里の憧れの女性。そんな編集長が履いているのがマノロブラニクなのでした。
靴に気を遣っている人って、とてもオシャレにこだわっているというイメージがあります。きっとオシャレだ、と言われる人の中には、靴に特別な思いを抱いている人は多いのでしょう。
フランスの格言に「とびきりいい靴を履くと、その靴がいいところへ連れて行ってくれる」というものがあります。私がこの言葉を知ったのは、漫画「花より男子」。それを読んで以来、靴を大切に履きたいと思ったものの、その気持ちはどこへやら。
この小説を読んで以来、ここのところ服にも靴にもあまり頓着しない自分に気づかされてげんなりしました。仕事忙しいのが終わったら靴を買いに行って美容院にも行ってこようかな。
この小説は、お仕事小説でもあります。野心家の先輩が主人公に話す「ピンチの後にはいいものが出来上がる」というセリフ、これは本当にそうだと思う。この小説に出てくる女性たちの仕事への熱心さには恐れ入ります。見習いたい。
永井するみさんの著書の中で初めて読んだ本。
残念ながらご本人は2010年の9月にお亡くなりになったそうです。
余談ですがこの本を読み終わってから、マノロブラニクの値段を調べてみました。
こんなに高い靴、もったいなくて履けないなと思いましたが、もったいないと思う時点でまだまだですね。いつかこういう素敵な靴を履いて、颯爽と歩いてみたいものです。