記憶に残った旅や本、そして映画などなど

これまでの旅やら読書やらでいつまでたっても記憶に残っているものを紹介します

永遠のゼロ (百田尚樹/講談社文庫)

以前、V6の岡田くん主演で映画化された本書。最近DVDを見る機会があり、興味を惹かれたので読んでみようと思って手に取りました。ただ、実際に文庫を手に取ってみると意外と厚い正直零戦のこともよくわかっていないものだから、読めるかなと心配になりましたが、読み始めると意外とするする読み進めることができました。映画を見ていたので、おそらく頭の中にイメージができていたのかなと思います。映画見た後に原作をすぐに読むのは本当にオススメです。

 

 本作は、とある女性とその弟が、沖縄で亡くなった「本当の祖父」の足あとを辿っていくというストーリー。二人の祖母が亡くなった時、これまで「おじいちゃん」だと思ってきた人が実の祖父ではない、ということを知ります。そしてどうやら本当の祖父は特攻隊員として命を落としたらしい。二人は元特攻隊員の方々を訪ねて様々な話を伺っていきます。その中では、祖父が「臆病者だった」というような、聞きたくないような話も飛び出します。

 

 戦争体験者の生の声を聞くことも難しくなってきた昨今。私も戦争を体験した方からお話を伺ったことはありません。ですからこういった映画や本でしか知ることができないんですよね。ただ、そういう映像や文章を読むたびに、私は戦争について何も知らないんだなと思います。「よくないこと」という漠然としたイメージがあるだけで。

 今回この本を読んで、そして映画を見て、特攻隊員として犠牲になった方々のことを決して美談にしてはいけないんだなと思います。こんな無謀な作戦で、どうしてこんな若い命が犠牲にならなくてはならなかったのか。考えても考えても理解ができません。

 

 この本を読んで、ずっと前から行きたいと思っていた知覧特攻記念館のことを思い出しました。ちょうど2017年で30周年を迎えたこの記念館のホームページには、若くして特攻隊員として戦死した方々が家族や恋人に送った手紙を読むことができます。その手紙を読んだときの胸が詰まる感覚を思い出しました。

 

 月並みな意見だけれど、やはり戦争はいけない。きっとこれから私も母親になるでしょう。生まれてくる次の世代の子供達のためにも。そう、強く思わせてくれた映画と小説でした。

永遠の0 (講談社文庫)