記憶に残った旅や本、そして映画などなど

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女子は、一日にしてならず (黒野伸一/小学館文庫)

黒野伸一さんの本を読むのは「限界集落株式会社」を読んで以来だけど、きっと面白いだろうと思って手に取ってみたらやっぱり面白かった小説。

 前面に出てきているテーマが「食べること」「ダイエット」そして「恋愛」。女性なら最低どれかひとつ引っかかってくるテーマだと思う。私は見事に全部引っかかりましたが。

 

 主人公は29歳の赤野奈美恵。文庫の裏にあるあらすじには、“ぽっちゃり”とあるけれど、はっきり言ってこの体型は大きい。それもそのはず、食べる量はさながらフードファイターです。おやつにまんじゅう10個、帰り道に肉まんとピザまんを合わせて11個、プラス、ファンタを1.5リットル。さらに帰ってから夕食を食べる…と恐ろしいとしか言いようがありません。さすがにこんなにも食べる人にはお目にかかったことはないですね。エンゲル係数とか考えたくありません。

 

 一般的に、ふくよかな人は性格が穏やかだと見られがちですが、奈美恵にはそんな要素は全くなし。言葉遣いは汚いし。周りの人から敬遠されがちな奈美恵が、友人に連れて行かれたのは「FBクラブ」。FBとは「Fat is Beautiful(太っていることは美しい)」…。平たく言えば、太っている人がただ飲み食いするだけの集まり。

 クラブに入会していた登場人物も最後の方で気づくように、単なる開き直りの会ですよね。

 

 ただ、痩せていることが美の象徴であるという風潮もどうかと思うのですが。本書の中で気になった一文は「肉体的に痩せれば、内面も変わると思っていたが、実はその逆だった。内面を変えようとすれば自然に外見にも変化が訪れる」。

 

 最終的に、奈美恵はダイエットを決意します。婚活パーティで出会った人といい感じになったものの騙されたり、西陣が本格的に作家を目指すために会社をやめたり、妹の彼氏である幼馴染との交流が復活したり。とにかく女子にはいろいろあるんです。奈美恵がダイエットに成功したかどうかは、読んで見てのお楽しみということで。

 しかし、こんなにリアルに女子の生態を書いているのが男性というのが本当に驚きです。

 

間違ったダイエットって割とみんなが通る道だよね。